健康コラム

OS-1とポカリの違いを薬剤師が解説|正しい使い分けで家族を守る

OS-1とポカリの違いを薬剤師が解説|正しい使い分けで家族を守る

「熱中症対策にOS-1とポカリ、どっちがいいの?」 「子どもが熱を出したとき、何を飲ませればいい?」

暑い季節や体調不良のとき、ドラッグストアの飲料コーナーで迷った経験はありませんか?

OS-1とポカリスエット、どちらも「水分補給に良い」と聞くものの、実は成分も用途もまったく違います。

間違った選び方をすると、かえって体調を悪化させることも。

この記事では、練馬区上石神井の薬局クレストⅡの薬剤師が、OS-1とポカリの違いを分かりやすく解説します。

ご家族の健康を守るために、ぜひ正しい知識を身につけてください。

OS-1ポカリスエットの基本的な違い

成分の違いで効果が変わる

まず、OS-1とポカリスエットの成分を比較してみましょう(100mlあたり)。

項目 OS-1 ポカリスエット
エネルギー 10kcal 27kcal
糖質 2.5g 6.7g
ナトリウム(食塩相当量として) 0.292g 0.12g
カリウム 78mg 20mg
塩化物 177mg -

この数字を見ると、OS-1の方が電解質(ナトリウムやカリウム)が多く、糖分が少ないことが分かります。

浸透圧の違いが吸収スピードを左右

もう一つ重要な違いが「浸透圧」です。

  • OS-1:約260mOsm/L(低張性)
  • ポカリスエット:約320mOsm/L(等張性)

難しく聞こえますが、簡単に言うと「体への吸収スピード」の違いです。

OS-1は低張性なので、脱水状態の体により早く吸収されます。

まさに「飲む点滴」と呼ばれる理由がここにあります。

そもそも分類が違う

実は、OS-1とポカリスエットは商品の分類自体が異なります。

  • OS-1:経口補水液(病者用食品)
  • ポカリスエット:スポーツドリンク(清涼飲料水)

OS-1は医療現場でも使われる「病者用食品」として、消費者庁の許可を受けています。

一方、ポカリスエットは健康な人の水分補給を目的とした清涼飲料水です。

症状別・場面別の使い分けガイド

ポカリスエットが適している場面

ポカリスエットが適している場面

日常的な水分補給や軽い発汗時は、ポカリスエットで十分です。

  • スポーツ後の水分補給
  • 軽い汗をかいた後
  • 入浴後の水分補給
  • 日常的な熱中症予防

糖分が適度に含まれているため、エネルギー補給にもなります。

味も飲みやすく、継続的な水分補給に向いています。

OS-1が必要な場面

OS-1が必要な場面

一方、OS-1は以下のような「脱水症状がある」ときに使います。

  • 下痢や嘔吐が続いているとき
  • 高熱で大量の汗をかいたとき
  • 熱中症の症状があるとき
  • 食事や水分が十分に摂れないとき

特に「口が渇く」「尿の量が減った」「めまいがする」などの脱水症状があれば、OS-1の出番です。

味の違いにも意味がある

「OS-1はまずい」という声をよく聞きます。

実は、この味の感じ方にも意味があるんです。

脱水状態のときは、OS-1を「おいしい」と感じることが多く、逆に健康なときは「しょっぱい」「まずい」と感じます。

これは体が必要としている電解質の量を、味覚で判断しているためです。

薬剤師の間では「味覚で体調が分かる」と言われています。

年齢別の注意点と飲み方

子どもへの与え方

子どもへの与え方

お子さんが脱水症状を起こしたとき、OS-1を嫌がることがあります。

そんなときは以下の工夫をしてみてください。

  • ゼリータイプのOS-1を試す(飲みやすい)
  • リンゴ風味のOS-1もある
  • 少量ずつこまめに与える
  • 冷やしすぎない(常温〜やや冷たい程度)

年齢別の目安量(1日):

  • 乳児:体重1kgあたり30〜50ml
  • 幼児:300〜600ml
  • 学童〜成人:500〜1000ml

高齢者の脱水予防

高齢者の脱水予防

高齢者は「のどの渇き」を感じにくく、気づかないうちに脱水になりやすいです。

  • 定期的な水分補給を習慣化
  • 嚥下が難しい場合はゼリータイプを活用
  • 暑い日は予防的にOS-1を少量ずつ飲む
  • トイレを気にして水分を控えない

妊婦さんの水分補給

妊婦さんの水分補給

妊娠中のつわりで脱水になることもあります。

基本的にOS-1もポカリスエットも飲んで大丈夫ですが、以下の点に注意してください。

  • 妊娠高血圧症候群の方は塩分に注意
  • 糖尿病がある場合は医師に相談
  • つわりで飲めないときは、氷にして少しずつ

間違った使い方のリスク

OS-1の飲みすぎは危険

「体に良さそうだから」と、健康なときにOS-1を日常的に飲むのは避けてください。

  • 塩分の摂りすぎ→高血圧のリスク
  • カリウムの摂りすぎ→腎臓への負担
  • 日常的な飲用は推奨されていない

特に、高血圧、腎臓病、心臓病の治療中の方は、必ず医師や薬剤師に相談してください。

ポカリで脱水は治らない

逆に、本格的な脱水症状があるのにポカリスエットだけで対処するのも問題です。

  • 電解質が不足→回復が遅れる
  • 糖分が多い→胃腸に負担
  • 重症化のリスク

「下痢が止まらない」「高熱が続く」などの症状があれば、OS-1に切り替えるか、医療機関を受診しましょう。

よくある質問にお答えします

Q:OS-1はいつ、どのくらい飲めばいい?

脱水症状があるときに、以下を目安に飲んでください。

  • 成人:500〜1000ml/日
  • こまめに少量ずつ(一気飲みはNG)
  • 症状が改善したら中止

Q:手作りの経口補水液でもいい?

水1Lに砂糖40g、塩3gで作れますが、以下の理由でOS-1をおすすめします。

  • 電解質バランスが難しい
  • 衛生管理が大変
  • カリウムなどが不足

Q:OS-1とポカリを混ぜて飲んでもいい?

混ぜることはおすすめしません。

それぞれ設計された電解質バランスが崩れ、効果が薄れる可能性があります。

まとめ:正しい使い分けで家族の健康を守る

OS-1とポカリの違いをもう一度整理します。

日常の水分補給→ポカリスエット

  • スポーツ後
  • 軽い汗
  • 熱中症予防

脱水症状があるとき→OS-1

  • 下痢・嘔吐
  • 高熱
  • 熱中症の症状

大切なのは「症状に合わせて選ぶ」こと。

迷ったときは、薬剤師にご相談ください。

薬局クレストⅡでは、OS-1各種(通常タイプ、リンゴ風味)を取り揃えています。

お子さまの急な発熱や、ご高齢のご家族の脱水予防など、それぞれの状況に合わせたアドバイスをさせていただきます。

「どっちを選べばいいか分からない」「飲み方が心配」など、どんな小さな疑問でもお気軽にお声がけください。

地域の皆さまの健康を守るお手伝いをさせていただきます。

  • お電話でのお問い合わせ:03-5991-7651
  • アクセス:練馬区上石神井2-27-5(MAP)

お薬の相談、健康相談はいつでもお待ちしています。

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