「あっ…!」
目薬をさそうとした瞬間、容器の先端がまつ毛やまぶたに触れてしまった。
「もしかして、雑菌が入ったかも…?」「このまま使い続けても大丈夫なの?」
多くの方が一度は経験する、こんな「うっかり」。
ご自身やお子さん、介護しているご家族の大切な目に使うものだからこそ、不安になりますよね。
この記事では、地域の皆さまの健康をサポートする上石神井の薬局クレストⅡが、そんなお悩みに専門家の視点からお答えします。
「目薬の先端が触れてしまった」ときの具体的な対処法から、安全な使い方まで、わかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ危険?目薬の先端が目に触れてしまった場合のリスク
そもそも、なぜ「目薬の先端をどこにも触れさせてはいけない」と繰り返し言われるのでしょうか。
それは、雑菌が容器の中で繁殖し、目の感染症を引き起こす危険性があるためです。
私たちの目やまぶたは雑菌のすみか
私たちの目やまぶた、まつ毛、そして指先には、見た目はきれいに見えても、ブドウ球菌などの常在菌をはじめ、さまざまな雑菌が付着しています。
目薬の容器の先端がこれらの場所に触れると、その雑菌が容器の口に付着します。
そして、点眼後に液体が少し容器の中へ逆流する際に、雑菌も一緒に吸い込まれてしまうのです。
容器の中で菌が繁殖し、目のトラブルの原因に
一度容器の中に入った雑菌は、目薬の液体を栄養にして時間とともに増殖します。
汚染された目薬を使い続けると、その雑菌を目に直接植え付けているようなもの。
その結果、結膜炎などの感染症にかかったり、目の傷を悪化させたりするリスクが高まります。
特に、目が充血している時や、目に傷がある時、また抵抗力の弱いお子様やご高齢者が使用する場合は、より一層の注意が必要です。
捨てる?拭く?「目薬の先端が触れた」ときの判断基準と対処法
「リスクはわかったけど、まだ中身がたくさん残っていて捨てるのはもったいない…」というのが正直な気持ちですよね。
どうすべきか、状況別の判断基準と具体的な対処法を見ていきましょう。
基本は「新しいものに交換」が最も安全
大前提として、最も安全な選択は「その目薬の使用を中止し、新しいものに交換する」ことです。
特に、以下のような場合は、ためらわずに廃棄してください。
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防腐剤の入っていない1回使い切りタイプの目薬
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目の手術後などに処方された、特に清潔さが求められる目薬
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ご家族など、他の人と共用している目薬(目薬の共用は絶対にやめましょう)
「拭いて使う」はあくまで応急処置
どうしても使用を続けたい場合、「拭く」という選択肢を考える方もいるかもしれません。
しかし、これは推奨される方法ではなく、あくまで自己責任のもとでの応急処置です。
もし拭く場合は、清潔なガーゼや医療用の滅菌済みコットンを使ってください。
ティッシュペーパーは、繊維が先端に残ってしまい、それが目に入る可能性があるため避けましょう。
また、アルコール成分の入ったウェットティッシュで拭くのは絶対にNGです。
アルコールが目薬に混入し、目に強い刺激を与えてしまいます。
拭き取る際は、容器の先端を優しくぬぐう程度にし、決してゴシゴシこすらないでください。
防腐剤入り目薬なら少し様子を見る?
市販の多くの目薬には、雑菌の繁殖を抑える「防腐剤」が含まれています。
そのため、先端が少し触れた程度であれば、防腐剤の働きによってすぐに菌が繁殖するわけではない、という考え方もあります。
しかし、防腐剤は万能ではありません。
汚染の程度がひどければ、防腐剤の許容量を超えて菌が増殖してしまいます。
開封後1ヶ月を過ぎた目薬は、防腐剤の効果も弱まっています。
「防腐剤入りだから大丈夫だろう」と安易に判断せず、少しでも液体の濁りや浮遊物が見られたり、使用時にいつもと違う刺激を感じたりした場合は、直ちに使用を中止してください。
もう失敗しない!今日からできる正しい点眼のコツ
今後同じ失敗を繰り返さないために、正しい目薬のさし方をマスターしましょう。
手が震えやすい方でも確実に点眼できる方法や、便利なアイテムもご紹介します。
基本のさし方と「げんこつ法」
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手を洗う: まずは石鹸で手指をきれいに洗いましょう。
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下まぶたを引く: 片方の手で下まぶたを軽く引き、「あっかんべー」の状態を作ります。
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げんこつ法で固定: 目薬を持った方の手を、下まぶたを引いている方の手の上に「げんこつ」のように乗せて固定します。こうすることで、手が安定し、先端がまぶたやまつ毛に触れるのを防げます。
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1滴だけ点眼: あごを上げ、目線は上に向けて、容器の先が目に触れないように注意しながら1滴だけ落とします。
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静かに目を閉じる: 点眼後はパチパチとまばたきをせず、1分ほど静かに目を閉じます。目頭を軽く押さえると、薬が鼻やのどに流れるのを防ぎ、効果が高まります。
点眼が苦手な方は「補助具」もおすすめ
「どうしても手が震えてしまう」「子どもにうまくさせない」といったお悩みには、点眼補助具という便利なアイテムがあります。
容器に装着することで、正しい位置で簡単に点眼ができるよう工夫されています。
どんな補助具があるか、ご自身の目薬に合うものはどれかなど、薬局で実物を見ながら相談することも可能です。
【まとめ】大切な目を守るために、正しい知識で判断を
この記事では、「目薬の先端が触れてしまった」というよくあるお悩みについて解説しました。
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基本は「交換」がベスト: 安全を第一に考え、新しい目薬に交換することを推奨します。
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拭くのは応急処置: どうしても使いたい場合は、清潔なガーゼで優しく拭き取りますが、自己責任となります。
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正しいさし方を習慣に: 「げんこつ法」などを試し、先端が触れないように工夫しましょう。
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異常を感じたらすぐに中止: 濁りや刺激など、少しでも異変があれば使用をやめ、眼科医や薬剤師に相談してください。
目薬の使い方一つで、目の健康は大きく左右されます。
ご自身の判断に迷うとき、この記事を読んでもまだ不安が残る場合は、どうぞお一人で悩まないでください。
私たち練馬区・上石神井の薬局クレストⅡでは、処方せんのお薬だけでなく、市販の目薬の選び方や正しい使い方、点眼補助具のご紹介など、お薬に関するあらゆるご相談に応じています。
地域のかかりつけ薬局として、皆さまの健康な毎日をサポートいたしますので、どうぞお気軽にお立ち寄りください。
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